日本の昇降機(エレベーター&エスカレーターの総称)は約170万台。多いのか少ないのか感覚を掴むことも難しいと思いますが、毎日1台ずつ修理をしつづけて1650年以上かかる計算といえば、スケールの大きさはわかってもらえるでしょう。そんな昇降機をつくるメーカーは世界中でもたった数える程度。私たちは日立製の昇降機を専門に扱う、機械修理・修繕のエンジニアリング集団です。
「たまに点検で止まっているときが」と思った方、実は点検と修理は大きく違うんです。私たちは吊り下げるワイヤーケーブルや滑車の交換や、昇降させる機械を分解して内部を修理やオーバーホールしたりする専門企業。機械に関する知識はもちろん、あらゆる設置条件にも対応可能な工事ノウハウも他社では決してマネのできない“神技”を持つ企業です。
私たちの唯一の課題は、技術者の高齢化。とはいいながら、齢をとっても職人として生きていけるほどの技術力があるという証でもあるのです。だから、あえて積極的に採用してきませんでした。匠集団であるがゆえに技量は群を抜いていて、エレベーターを作る大手メーカーにも一目置かれています。でも、そろそろその技術継承を始めなければならないと感じているんです。
かかる作業はすべてチームで行うので、仕事の中で十分スキルは磨かれていきます。職人的に見られがちの仕事ですが、メカニックとエンジニアの中間。なので、ひとつ一つケースバイケースで昇降機たちと向き合いながら、穏やかに優しくできることを増やし、育てていきます。ただ危険が伴うとき、命に関わるときだけはしっかりと叱ります。ここだけは昭和も平成も令和も、時代に関係ありませんから。
腕さえよければいい。そんな発想はとうの昔から持ち合わせていません。私たちは“日立”の看板を背負い、仕事に取り組みます。現場での挨拶は絶対。休憩の仕方、食事のとり方、トイレ休憩のときも常識と丁寧さを決して忘れません。何事もきっちりと取り組むことは必ず仕事の成果だけでなく、安全に仕事をやり遂げることにもつながっていきます。先輩たちを見ていれば、すぐにマネできますから。
技術のプロフェッショナルに定年はありません。狭いところが怖くなったとか、重い工具や部品を運べなくなったとか、それが定年のサインかも。ところがそんな音を上げる匠がひとりもいないのが現実で、いまだに仕事に誇りを持ち、仕事を楽しんでいます。他の誰にもできないことだから…そんな自負と責任感をいつまでも持ち続けられる仕事って、そう多くないはずです。でもここには確実に存在しています。
一番は素直であること。わからないこと、できないこと、しんどいこと、遠慮なく声を出してくれれば十分。かっこつけたり、反発したりしても、何も進歩はないし、どこまでできるようになったのかも見えてこない。恥ずかしがらずに声を出してくれれば、師匠たちは笑顔で答えを導いてくれます。だから経験は一切不問。日本中のエレベーターとエスカレーターの安全を守る選ばれし集団の一員に、たった今から挑戦してみませんか。